H∧L 2019-03-23 09:29:55 ID:6b716f026 |
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ありがとうございます~…短編二つ、お送りしますね~
【敬語主人と関西弁執事】
「…何やあんさん。もう行ってまうんか」
廃れたビルの屋上で、フェンスの上に立つ男の背に向けて、
青いスーツの男が話し掛ける。
「嗚呼、君でしたか…ええ、何せもう、
意義も意味も感じないものでね」
背を向けたまま、顔に雑布を着けた男は答える。
それを見て、青スーツの男は渇いた笑いと共に、
主人に煙草を差し出した。
「そか……まぁええわ。他の三人には
僕から言うとして…ホンマにええんか?」
「ええ、勿論……嗚呼、南瓜君は知ってますから、
言うのは狂授と小君の二人、ですかね」
「はえー…僕南瓜の奴は地味に苦手やったから助かるわぁ…」
「おや、後で怒られても知りませんよ?」
薄い、しかし何処か翳りを帯びた微笑みを零せば、
彼はその罪の名に相応しく、憂いを目に滲ませて、ただ一言。
「ほな、僕の大事なご主人さん…何卒、お元気で、宜しゅう」
"憂鬱"の罪人は、その主の背を軽く押した。
「愛する団員達よ。今こそ別れめであるが故に…いざさらばっ!」
人々に幸福を分け与えるサーカス団の団長は、
星が煌めく夜空へと消えて行った。
【陽気医師と陰気患者】
「…如何しました?そんなに見詰めて、
いくら私と言えど照れちゃいますよ…?」
「…五臓六腑が引き千切れ、意識朦朧とする中でも……
それに気付かないフリをする…」
身体中に包帯を巻いた女が、ベッド脇に立つ医師から虚空へと
視線だけを動かして、我ここにあらずと言った様子で呟く。
「それは、一体…」
医師が女を振り向いて、その顔を覗き込むようにしてみれば、
半分程閉ざされた女の視界に、困惑したように開く唇が見えた。
「…先生の事だよ……言わなくたって、アタシには解ってる……
先生は、重い罪を償うために、贖うために……忘れるために、
医者をやってる……なんで?」
女が低く呟いてから、薄く眼を開けば、狼狽しているのか、
顔を蒼白くした医師がそこにいた。
「…答えなくても、良いよ……でも先生…それなら、アタシの事、
ちゃんと治療してね…約束だよ……」
女が身体を起こし、ベッドから降りる。ベッドの上に散っていた
赤味掛かった茶の長い髪が、女の動きに合わせて引かれて行った。
「…面白い患者ですねぇ。家族が居ないなら、
私が養って差し上げましょうか…♪」
女が病室を出る時に、ポツリと漏らした一言を思い出した
医者は、抑え切れない笑いを隠すために、手で口元を覆った。
―――約束破ったら、末代先まで呪っちゃうから―――。
うわっはー…自分で書いた筈なのに、
何を書きたかったのか解らなくて草生えましたわ~…
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