24796 2019-03-14 20:04:54 |
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(声は無い、甘やかすような声も、貶ような声もないまま、まるで水飴の中に沈められていくような…背後から刺さる怪訝な視線は貴方のものだと最初からわかっていた。聞こえた声に肩越しに振り向けば、ああ不満そうな表情が見える。声の出ない、穴の空いた首をもそのままに、あなたに歩み寄ってはそっと首を指さして傾けて。…この傷を舐めて、癒してみせて。そうしたら人間なんかに媚びることはやめよう、あなたのために今だけは尽くして見せよう…だなんて、声は出ない分、態度に込めた甘い囁きを熱に浮かされたような瞳に込めて。身体ごと振り返り、その場に膝を折って座ると、音は無く、唇だけを動かしては「愛してよ、アネル」と人間に向けたものよりも甘く微笑んで)
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