◎ 2019-02-17 20:30:14 ID:4556a69d2 |
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(相手を待ちながら軽く考える。玲と怜には多少好印象だったらしいが、自分は相手のことがいけすかない。明日から何を言われるのかと思うと不安と同時に嫌な予感が頭の中を駆け巡る。観覧車のように回り続けるその嫌な予感を跳ね除けようと頭を振ってはみるけれど、その不安は消え去ることはなく留まったままであり。クソッ、と小さく悪態をついてみるものの。相手に送ってきて貰ったのは事実であるし、あまり偉そうなことは言えず。妹と弟に別れを告げたのだろう、此方に歩み寄ってきた相手は小さく頭を下げており。革靴を履きながら饒舌に礼を述べる相手にチラッと目線を向けて壁に凭れ掛かりながら腕を組んで見せて。)
「…フン、そんなこと言っても何も出ねーっつーの」
(相手が何か手土産を求めているとは思えないが、素直になれない自分はそんな風な言葉をつらつらと述べて。相手が扉を開ける、外からは冷たい風が流れ込んできており小さく身震いし。思わず袖を伸ばしながら相手に目線を向ければ、相手は笑顔のまま此方に礼をし。整った顔立ちにきちんとした礼儀作法、自分には真似できないと思いながら別れの言葉を告げてやろうと思えば相手の動きは静止して。何事かと首を傾げればいきなり此方に一歩踏み出し間合いを詰めてきており。急な出来事に頭が追いつかずに何か言葉を述べようとする前に有無を言わさず相手は此方の襟元に手を伸ばし、抵抗する間も無く引き寄せられて。驚いたような顔で呆けながら相手の言葉を一言一句耳へと入れて。先程とは違う少々荒々しい口調に頭の整理が追いつかないでいて。)
「__っ…!!」
(言葉を述べ掛けてついやめてしまう。相手は此方の襟元から手を離す、自由になれば少し皺のついた襟を軽く直して。曖昧にニヤついた相手は此方に背を向けて出て行こうとする。何を言うかを決めないままに口は勝手に動いていて。「俺はッ…全然楽しくねーよッ…!!」と扉の外に吸い込まれていく相手の背中を見ながらそう言えば、思わず唇を噛んでしまって小さく痛ぇ、と漏らし。薄く口の中に広がった鉄分の味に不快感を感じながら相手の背中を見ながら立ち竦んでしまい。)
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