◎ 2019-02-17 20:30:14 ID:4556a69d2 |
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(家の中から聞こえる子供特有の無邪気な声。それから間も無く扉が開き暗いコンクリートの道路に一層明るい光が差し込むと、ドアの向こう側からまだあどけなさの残る子供達の顔が出てきて。何処と無く相手に似たその顔から言わずとも彼の大切な弟と妹だと分かる。相手の面影のある様に表情を緩ませそうになる一方、どうしても眉根を寄せてしまいそうになった。昔から子供は苦手なのだ。自由奔放な幼さは、自分の掌中に収まりきらず飛び出して行く気がしてしまう。愛想笑いも長い物に巻かれる事も知らない無垢な彼らのきょとんとした無表情は、自分に把握出来ない感情を秘めていて時々全てを見透かされているような寒さを覚えさせるのだ。勿論愛くるしい姿も理解は出来るのだが、どうしても苦手の一言で片付けて逃げてしまいたくなるのが常である)
「ゆ...夕飯ですか...それは...___い、いえ、是非ご厚意に甘えさせて頂きます。ありがとうございます」
(まさか相手から夕飯に誘われるとは予想もしておらず、珍しく動揺を表情に表し何度か瞬きを繰り返し。初めて顔を合わせた時の邪険に突き放す様な態度から一転、自宅に招かれるというのは多少なりとも心を開いたのだろうか。一瞬そう思うも、妹と弟を微笑ましく眺める相手を見ると全ては彼らの為だろうと苦笑しつつ納得し軽く頷いて。学校では不機嫌そうな表情を浮かべているように感じていたが、今のように笑っていたなら良いのに、そんな風に感じさせる柔らかな笑みだった。相手の横顔を視界の端に認めながら誘いに関して考えてみて。どうせこのまま帰宅しても両親も帰宅しておらず、空虚に静まり返った玄関にただいまを告げるだけだ。自宅はマンションであり隣人も確実に存在しているが、その距離は近いようで遠く感じられ孤独が際立つだけである。今更一人で過ごすことは気楽で安らげるはずだが、子供が苦手な自分でも相手の家族の温もりに意図せず魅力を感じておりつい誘いに甘えてしまい。軽く頭を下げ礼を告げると相手の後ろに続き家にお邪魔する事にして)
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