罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(救護室、相手が訪れてから暫くしてそのドアを開く一人の男が。その男はイチで調達してきた備品を棚にしまいに来たところ。先に部屋にいた梔の姿に目を瞬かせるも好きな相手と居れる嬉しさにすぐに人懐っこい笑みを浮かべて『おー、こんな遅くにどうした?病み上がりはさっさと寝たほうがいいぞ。』と相手の体調を気遣いながら手にしていた薬や包帯を棚に戻していき。それから何か思い出したのかくるっと相手に向き面白げに口端を上げて『そう言えばさぁ…』と勿体振ってから『さっき街から帰ってくるとき久々にお前の兄貴見かけたぜ。今行けば会えるかもな。』といらない気をきかせ『あー確か誠も街行くっつってたかなぁ。……んで、なんかあったの?』とブツブツ零したあと再び此処に来た理由を尋ね。
そして夜道、酒屋を出て暫く、後方から自分をつけてくる気配にまたかと肩を落とすも気にせず足を進め、前方に見えてきた人影におやと思う。此方が誰かと気付くのとほぼ同時に話しかけられ愛しい彼の面影を持った、それでも彼とは似て非なる魅惑を纏う男との再会に「久しぶりだね、茉莉花。元気にしてた?」とゆるりと笑んで挨拶を返し。男は組織を抜けた人間。全く警戒していないと言うと立場上も踏まえ嘘になるが、梔の兄でもあり、過去に何度か目撃している兄弟喧嘩も微笑ましく見ていたこともあって警戒心は薄く。相変わらずの馴れ馴れしさも咎めず回された腕もそのままにさせておくが、ふと男の飄々とした態度の中に冷たく鋭い刃が光る。その研ぎ澄まされた瞳や空気に触れた瞬間“あー、似てるな”と思い。相好こそ違うがその裏に潜むものは底知れず兄弟揃って“侮れない”なと。後方の気配が去っていくのを感じながら何も気付かない素振りで男の軽口に小さく笑って「俺はそんなやわじゃないよ。それに万が一のときは貴方に似た優秀な部下もいるからね。」と気を遣ってそれとなく男の弟、梔の無事を伝える。その表情と声は梔を想い無意識に優しさや慈愛がこもるが自分では気付かずに、続く男のやや強引な申し出にも嫌な顔はせず「貴方に送って貰えるなら何が起きても心配いらないね。でもその前に一杯どうかな?」と特に裏のないような軽いノリで誘えば片手に持つ酒瓶をチャプンと揺らし緩やかに微笑んで。)
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