罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(救護室を後にした足で書類整理をするためアジト内にある仕事部屋に向かい、浮足立つ気持ちを抑えて大きく頑丈な机に向かいペンを取るも先刻の相手の表情や声が頭に浮かんで集中できずに。これではどこぞの初な若い娘のよう…と相手の身に起きたトラブルなど知るよしもなく先刻の余韻に酔いしれうつつを抜かしており。まあそれでも仕事は進めねばならない。苦手な執務仕事に取り掛かりペンも軌道に乗ってきたころフと上着のポケットにしまっていた写真を思い出してもう一度確認するため封筒の中から取り出して見てみる。脅迫、宣戦布告にしては他に何も無さ過ぎる。本当に一体誰が、と思考を巡らせ最近自分を付け回す男の存在を思い出し。…あの男が?だとすれば一般人にしては中々の行動力。それでもこれといった実害もなく男の要求が掴めない以上、今は事を荒立てることもないかと。結局男が一般人ということもあり深くは考えず薄気味悪い写真は机の引き出しの中に閉まってペンを取り直して。
大方の書類整理が片付き相手に確認を取って貰うためファイルにまとめ終わると軽く伸びをして。組織内の問題が全て片付いたわけではないものの繁忙時に比べれば落ち着いて来てはいた。となれば出るのが己の悪い癖。彼とのことで浮ついていたこともあり少しくらい呑んでもバチは当たらないだろうと。附言すると自分の少しは常人のそれではない。彼を誘おうかとも考えたが病み上がりの人間を飲みに誘うのも野暮だと、大人しく酒だけ買って帰り此処で呑むことにし出掛ける準備をして部屋を出て。)
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