罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(相手の凛と澄んだ声から紡がれる言の葉、そのどれもが甘く雅やかで己の欲する言葉を齎してくれる。歳上の自分がリードしたいのに悔しいが今回は彼が上手なようで、頬に彼の手が触れて再び名を呼ばれてしまえば目を離せなくなり心拍数は増すばかりでまともな返答もできない。もっと名前を呼んでほしいなんて我欲に染まっていると続く彼からの問いにすぐ気持ちの切り替えができず一瞬間が抜けてしまって。忘れていたわけではないが彼との関係にはっきりした名はまだない。浮かれていた自分が恥ずかしくなるも仕事の話をするにはまだ早い。と、彼の手がファイルに届く前にヒョイとそのファイルを掬い上げ彼の手の届かぬ棚の上に置いてしまい。「待って。君と出掛けるためだし仕事の話も大事だけどその前に渡しておきたいものがあるんだ。」と穏やかな声色で緩く笑むとベッドテーブルに置き去りにされていた小ぶりの紙袋を手にとって彼の足の上にトンと置いて。その中身は腕時計。数日前から彼の腕にいつもつけられていた時計が無くなっていたのに気付いて買ったもの。決して高価ではないがそこそこの値段。シンプルなデザインで文字盤は見やすく軽量なため戦闘時つけていても邪魔にならない。特質してお洒落な訳ではないがひと目見た時に彼の雰囲気に合うと感じて。「余計なお世話かなとも思ったんだけどね。…日頃頑張ってくれてるし今回無事で居てくれたことの報奨だと思って受け取って。」と何でもないよう微笑む。言っていることに偽りはない。ただそこに自分が贈ったものを相手が身につけてくれたら…という我欲はあるが。「開けて見て?」と開封を促せばゆったりその時を待ちつつ相手の反応を窺って)
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