罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
おー、どうした?食わねえなら俺が食っちまうぜ?
(榊の作った粥に釣られる相手の姿は可愛いものだが正直、幼い頃から一緒にいる榊の良さはイチには分からない。あんなへなちょこ野郎より相手の方が魅力に溢れている。美しく気高い、深淵の森の中に咲く花。輝く木漏れ日を浴びながらも何処か影があり、その影は一層彼の魅惑的にさせる。まあそんな彼は自分の手の届かぬ場所にいるのだがとイチはひっそり落胆しながら、相手がなぜ粥をすぐ食べ始めないのか理解しうた上で前述をからかい混じりの笑みを浮かべて言う。本当は自分の前でも気兼ねなくその相貌を晒してほしい。そんな我情を抱きつつ好意を寄せる相手を困らせたくはなく「ジョーダンだよ。あっち向いて薬の準備しってからさっさと食え。」と吐き捨てるように言うとくるっと向きを変えて薬棚へ向かい相手が食後に飲む薬の準備をしがてら棚の片付けを始め。そして手先を動かしながらふと口を開き「そーいやあさ……、誠と何かあった?なんつうか、その…前より距離、近くね?」と少し前から感じていた二人の間の微妙な空気の変化を、さも今思いついたかのように滅茶苦茶気にしている癖に何でもないように問うて、振り返りたい衝動を押さえ意味もなく薬瓶を手の中で回し。
一方、街。部下の言葉に、あー、またかと内心で嘆息しながら「必要ないよ。」と一言告げそのまま足を進める。視線は気にはなるが殺意も敵意もなければ男は一般人。害がない以上此方から態々けしかけることもないだろう。それに今は部下も一緒、男二人で部下の家族の家に訪問しているところを見られても仕事と理解して可笑しな詮索はしないはずだ。そうして抜かり無く件の部下の家族との話を終えてアジトへの道を行く。そこでも視線を感じて暇人だなぁと呑気に思いながら歩いていると店先である物を見つけると少し迷ってそれを購入し包んで貰って。「…贈り物ですか?」と部下に聞かれて、んー、と考える素振りをし「…秘密。」と含み笑いを漏らして再び歩みを再会する。中心街を抜けたところで視線が無くなったのを確認しながらアジトへの道を急いで。)
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