罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
あー…イチか。(けたたましいドアの開く音に、誰がやったのか大体の見当がつくものの、小動物のように動く本人を見ると見つかったか…と想像していたにもかかわらず少し落胆する。彼は救護班の中でも指折りの実績に加え、人望も厚い。また、自分と同い年ということもあり、組の中でも気兼ねなくタメで話せる数少ない人間である。個人的には榊さんと同じ場所で育ち、同時期に組に加わった人材という事も気になる点ではあるが、イチという人物の中で一番気になるのは我らが頭を下の名前で呼び捨てしているという事だ。羨ましくないといえば嘘になる。否、正直とても羨ましい。「…!食う!」そんなことを思っていたからか、彼の名前が出たのを耳聡く聞き取り、やや食い気味に返答する。自分と違い、彼の作る料理はどこか懐かしく、優しい味がする彼の料理は人を思いやる彼そのもののよう。きっと彼がこれを作ったのも思いやってのことなのだろうと予測すれば、その相手は必然的に自分だと気付いて頬を緩ませる。その返事にやれやれ、と首を振った相手が「ほらよ、ゆっくり食えよな?」と少し温めたお粥をテーブルに置けばスプーンを手にしてどうしようかとイチを前に食事の為にマスクを外すか否かで少し迷い。
その頃、クライム中心街では共に行動をしていた部下が何かを察して相手に「榊さん、何か付いてきてます。」と告げ口をこそりと。街角から付いてきている相手はマフィアなどではなく、ただの一般人だがその人種は所謂ストーカーと言われるもの。時たま中心街に現れる彼の、目の覚めるような美貌と人柄に惹かれるも声をかける勇気なく、ダラダラと後をつけることが恒例となってしまった男である。その男は勿論一般人であるため、気配を消すことが上手くない上、戦闘経験も皆無であるが故に無理矢理彼を襲うことはないのだが、そんなことは通じるはずもなく、付いてきた部下が「…黙らせましょうか?」と不審に思った男への指示を伺い)
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