罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(少し霞んできた視界の中でも変わらず眩しく見える彼が、扉を開いて部屋の中に入って来たのを何処か他人事のように眺める。低くなってきた自分の体温は、彼の温もりがよく感じ取れて少しだけ得した気分になる、なんて冗談は怒られそうなので口には出さないでおこう。「流石榊さん、今回もお見事な手腕でした。」ふ、と少しばかり困ったように笑むと、彼の心遣いが嬉しくてついその背に手を回してしまいそうになる。彼の優しく凛とした声が引き絞られた弓の弦のように微かに震えるのも、理知の輝きを潜めた目元が焦燥を僅かに滲ませているのも、自分のせいかと思えばその嬉しさに私欲が混ざる。自惚れてしまう、自分のために彼が心乱れているのだと思えば尚更。そんな薄汚い感情が蠢く脳内を沈めたのは、再び開かれた扉と視界に入った部下の姿。何やら必至に説明しようとしてくれている部下をなんとか目を凝らしていると、すぐ側の彼の喉から直接腹に響くような声が聞こえたことに驚き、欲望と毒薬の症状で混乱する頭もすっ、と落ち着きを取り戻したようだ。かわいそうに、聞いた事のないような御頭の低い声にさっ、顔を青くした部下へ彼の背中越しに『大丈夫、分かったよ』というようなジェスチャーを送り、それを受け取った部下がおずおずと部屋を出ていくのを見届け、彼の背に今度こそ手を回す。ざり、と髪の間に指を通される感覚は擽ったく、少し身動ぎするが、それが彼の細く形のいい彼の指から生み出されているのだと分かると目元と頬を緩めるが、何時迄も彼に心労をかけるわけにもいかない。そっと彼の頬に手を添えて此方の方を向かせる。彼の瞳がいつもより焦りや不安を含んで水膜を張ったように見えるのは、自分の症状の進行のせいか、それとも慢心のせいか。それを振り払い「榊さん、御心配をかけてすみません…大丈夫です…。さっき、薬を…解析して、くれた部下が…致死性は…ない、と…。」と、途切れながらもゆっくりと部下から伝えられたことを言葉にする。体は症状が進行し、不調が増えてきたが、自分も多少毒には耐性があるので、少し休めば大したことはないだろうと命の危機が無くなったことにより余裕が出て、小さく笑みを浮かべる。少しでも彼に安心してもらいたいがため、彼の両手を取り、ゆっくりと撫でながら「本当に…すみません、榊さん…でも、まだ…自分は枯れません…。なのでどうか…また、いつもみたいに…笑ってください。」と彼の両目を見据えて話し。)
(/此方こそいつも亀更新な駄文にお付き合い頂きありがとうございます!榊さんの背後様の文は多様な文章表現や、素敵な言葉回しにいつも楽しませていただいております!長い文章だと楽しみに読み進めるうちにあっという間に文章を読み終えてしまいます。むしろ私の文こそ要領を得ず、何を伝えたいのかわからないまま長文になってしまい申し訳ないです…また、分かりづらい等ございましたら、お申し付けくださいませ!確定ロルについても了解しました!できるだけロルを回していけるよう努力しますね!)
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