罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(しん、と張った水面下のような状況では彼の言葉はよく響く。それ故に彼の言葉の違和感は件の部下だけならず、その場にいる部下達、挙句カメラの向こうの部下にまで波紋のように伝わってゆく。その小さいながらもおかしな波紋の下から現れた指示を見逃さなかったのは偏に彼の人望のなせる技だろう。そこからはトントン拍子にクライム中心街の部下まで指示が通る。クライム中心街に数人のグループで出かけていた部下は早速件の部下の家族が暮らすアパートの一室へ訪れると、出て来たのは顔を知らない男女で「部屋違いだ」と言う。しかし、部屋の奥からくぐもった悲鳴が聞こえると瞬時に部下達はこれが罠だと見抜き、その二人を制圧、部屋へと突入するとそこには御頭の予想通り件の部下の家族二人が囚われており、救出に成功した旨を監視カメラの前の部下に伝える。それと時を同じくして睨み合いにしびれを切らした男が「いつまで待たせてんだ?お前らが出来るのは要求を飲むことだけなんだよ。」とイライラしながら声を荒げ、それにビクリと部下が怯えたように反応する。
一方、救護室では腕にあてがわれた注射器の針の感覚に体の動作を止めて、「…分かった。すまないが手を貸してくれないか?」と支えてもらいながらも立ち上がり。悔しいが、部下達の言うことは最もであり、上手く体が言うことを聞かなくなってきた。息を整えようと一旦ベッドに腰掛けると、自責の念とこみ上げてくる悪寒を俯いてやり過ごそうと。)
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