罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(明らかに納得のいかない様子の彼、真面目で繊細…それでいて揺るぎない熱い闘志を秘めている彼にとって待機が如何に口惜しいことか。しかし之も彼の身の安全のため、「いい子だね。」と俯く相手の頭を優しく撫でて、ずるいと理解の上で柔らかい声色で念を押すように“いい子”と諭して。その後、彼を満を期して救護室へ送り届け、救急班の人間に彼の身の保障と無理をさせぬよう命じて自分は一件を片すため部屋を後にする。と、此処までは何とか平静を取り繕っていたが正直得体の知れない液体を飲んだ彼を思うと落ち着いてはいられない。彼の不安も一入のはず。すぐにでも裏切った部下か男達の元へ行き薬の正体を聞き出し解毒法を吐かせたいところだが、こんな時でも、愛しい彼の命が危険に晒されている今でさえも、組織の頭としての責任、判断をもって務めを果たそうとする自分がいて。気を入れ直し一息吐いた頃には顔色に疲労はなくなっていて、対応に当たっていた部隊と合流し状況確認を取る。今男達の見張りは裏切りを測った部下を含めて2人。他にも警戒態勢の部隊が控えている。男達が逃走を企てていると分かった今すぐにでも鎮圧すれば済む話なのだが、一つ気懸かりがあった。それは件の部下が裏切りをするに至った経緯。先代にも人が良すぎるとどやされていた男。自分への代替わりも快く受け入れ良く動いてくれた人間が理由なしに裏切るとは考え難い。となればその理由は──、と答えに行く着く寸前、ドンと牢屋の方から爆発音が響く。その場にいた部下達と共に急いでそちらへ向かうと硝煙の中から男達と共に件の部下が出てきて。なぜか周囲の部下達は手を出させずに居たがその理由はすぐに明らかになる。勝ち誇った笑みを浮かべる男達の逃走ルートを確保する件の部下の手には小さな装置が握られていて「そ、それ以上近づかないでください。これはアジトの火薬庫に仕掛けられた爆弾の発火装置です。ち、近づいたら爆破します。」と声を震わしており。火薬庫に爆弾、そんなものいつ仕掛ける暇があったのか、はったりかと思うも事実確認が取れぬ今、下手に動けない。男達は余裕が生まれたのか「あんたは無事みたいだが、可愛い僕ちゃんはどうしたよ?もうくたばっちまったか?」と挑発してきて、その挑発に乗るまいとするも相手のことを言われ無意識に腰の刀に手を置いていて。
一方救護室では相手の見張りも兼ねて救急班の人間が爆発音を気にかけつつ、相手の体調をしきりに心配しており「動いたらいけませんよ。今は何ともなくても何があるか分かりませんから。せめて薬の解析が終わるまで、貴方は此処にいてください。…お身体に変わりはありませんか?」と相手の腕を取り脈を計りながらしっかり牽制して。)
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