罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(腕は問題ないという彼に安堵し、此方の冗談を艶やかに美しく返す様は本当に花が似合いだと思う。決して自己主張しない静かに凛と佇む淑やかな華。男に可愛いなんて言うものではないと、その言葉を封じるほどの魅惑が彼にはある。そうして彼に見惚れていたが、解毒薬だと見せられた小瓶を見た瞬間、背筋が凍りつき表情がぴしりと強張り彼の腕を掴む手に僅かに力が入って。「……梔、これ飲んだの?」と小瓶に視線をやったまま微かに声を震わせて問うとゆっくり彼へと視線を移す。美しく咲く華が枯れゆくのを想像し、一介のボスにあるまじきことだが動揺を隠せず瞳が揺れ動き、彼が答える前に先程部下から聞いた話を告げて、「男達の持っていた情報の回りが早かったから気になっててそれを君に話そうと思って呼び出したんだ。そしたらさっきの子が怪しい動きがあったって…。」焦り滲んだ声で言い表情を歪ませ、もう一度飲んだのか問おうとしたとき先程出て行ったばかりの部下が再び戻ってきて「…何度も失礼します。先程の件ですが不自然なことがありまして。…牢屋の予備の鍵と手錠の鍵が無くなっていました。恐らく近い内に動きがあるかと。既に部隊を組んで警戒を深めていますが…あの者の処遇は如何致しますか?」と。“あの者”…裏切りを測った部下。罰を受けるは当然だが──、「生かして身柄の拘束…、その時は俺も行くよ。あと此れを解析に回しておいてくれる?………で、梔、君は待機。」部下に相手の持っていた小瓶を渡して指示すると相手に向いて静かに告げる。薬を飲んだ飲まないに関係なく腕を負傷している彼にこれ以上無理はさせたくない。素直に聞いてくれるか…、薬のことも気になり立ち上がって彼の肩に手を置いて顔を覗き込み「…分かった?」と声を落として顔色を窺って。)
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