罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(あの部下は部隊の中でも気を利かせることが得意なもので助かった、と密かに思う。ベッドの上で上半身を起こす彼は残った毒や、白いシーツも相成って彼を華奢に彩り、その長く、健気な魅力を落とす睫毛や、黒く艶やかな髪の毛が揺れる頸を更に魅力的に飾り立てる。負傷者に対してそんな目で見るのは如何なものか、と思い直し慌てて本題に戻る。「いえ、この程度なら問題ありません。腕の方も救急班のおかげで随分楽になりました。」そう答えつつ動かそうとした己が右手に添えられた、彼の手の皮膚の下に暖かな血が流れることを確かに感じ取ると少し安心する。笑顔と言うほどでもない微笑みが、微かに目尻に浮かぶかと思えば、その瞳を丸くして続いて指に触れた彼の唇を凝視する。今、右手の感覚が無いのは麻痺のせいでは無いだろう。なんとも艶やかな流れるような仕草と、それに相反する相手を思いやる、幼子のような笑みの魅力に打たれて一瞬呼吸を忘れる。自由がきく左手でゆるりと彼の頬に手を添えて「……貴方はやはり可愛らしいお人だ。」と慈しむかのように目を細めて。「…身体ですか?救急班のおかげで楽になりましたし、解毒薬を先程貰ったので大丈夫です。もちろん、榊さんの分も預かって参りました…?」急に近づいた距離と、低くなった相手の声にびく、と少し肩を震わせるも直ぐにいつもの調子に戻り、部下から預かった液体の入った小瓶を懐から取り出して「こちらです。」と差し出し。)
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