罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(アジトへ着き、捕獲した男達の中で治療が必要そうな者は応急処置程度の治療をしてアジト内にある牢へ抑留しておくよう部下に命じ、自分は申し訳ないが体を休ませて貰うことにする。相手とは別の医務室に行く別れ際、「少し彼奴等が言ってたことで気になることがあるから落ち着いたら顔だして。」と相手に耳打ちして常の緩い笑みを零し医療班と共に別室へと。治療と言っても解毒薬が現段階でない以上、今ある薬を飲んで休むだけ。救急班に礼を言うと自分に与えられた仮眠室へ行きベッドに横になる。男達のことなど考えるべきは沢山あるのだが睡魔がすぐに訪れて薄れゆく意識の中で浮かんだのは相手の『好きなので。』の一言。相手とは口付けこそ交わしたが言葉では明確に思いの丈を伝えていない。今更だが彼との関係はなんなのかと、答えが出ないうちに眠りに落ちていて。
一方、相手も別室で腕の治療を受けており救急班は今出来る処置としてしびれを緩和する注射を打ち「これで多少は良くなると思います。ボスの様態も毒によるものですが目眩と倦怠感がある程度で後遺症の心配もないとのことです。貴方も無理をなされないようお願いしますよ。」と話し終えると部屋を退室し、それと入れ替わるように男達の対処に当たっていた部下…ではなく別の部下が走ってきたのか息を乱して入ってきて。その部下はこの組織内では榊よりも古株の30代の気の小さい優男として知られており。「…梔さん、代理として報告に参りました。男達から解毒薬の在り処を聞き出し手に入ったので早急にお持ちしました。」そう言って息を整えながら相手の前に飲むタイプの薬が入った小瓶を置く。そしてもう一つ同じものを隣に置いて「こちらはボスの分です。今はお休みになられているようなので後から梔さんから渡しておいて頂けますか?」と。しかしこの優男の言う大半は真っ赤な嘘。男達から解毒薬を手に入れ代理として報告に来たのは本当だが、実際今相手に渡した小瓶の中身は解毒薬ではなく中身をすり替えた遅効性のある別の毒薬。すぐには症状が現れず死には至らないが数時間、あるいは半日後に漸く症状がでる代物。そしてこの優男が今回男達にアジト内の近況情報を渡した張本人、内通者。今渡した毒薬も万が一男達が囚われ場合、報復として二人に飲ませるよう事前に男達から渡されていたもので。ただこの優男がこんな愚かな真似をする理由は、今も別の場所で彼の家族が囚われの身となり脅されているから。家族を囚われ正常な判断を失いつつも相手の前では不自然のないよういつものように腰を低くして話し笑みを浮かべていて。)
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