罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(やはり彼は聡明な人だ。彼の瞳には怒りが映れど、その色に負けじと理知の光が芯に立ち、無言のコンタクトが成立したと確信する。この人がいれば、我々は負けないと圧倒的な自信が湧き出る。己が?に掛かる指は不快なれど、彼が拘束を逃れられるのであれば容易いこと。そんな刹那、相手が鮮やかな身のこなしでナイフを奪取したかと思えば、ひらりと宙を舞った所持者を変えたナイフは斬れ味も鋭くなったかのように鮮血を軌道に散らす。そんな時ではないのは重々承知の上だが、やはり彼の戦いは艶やかに死を誘う美しさがある。しかし、僅かな違和感は彼の放った千本がズレたのを感じたことにより確信へと近付く。疲れ以外にも彼の体調が優れない理由があるのではないか。そして、それはきっとこの者達の仕業に違いない。さもなければ彼ともあろう人がこんな者達に負けるはずがない。そう頭で整理した途端に、怒りがまた込み上げてくる。銃身を左手で掴み、こちらを向いた銃口を逸らすと同時に右膝で体勢を崩したスーツ男の鳩尾を突き上げる。ぐぅ、と苦しげな息の音と鈍い打撃の音が重なった直後に体勢を直して今度は右脇腹に対して左足を振り抜き、その直線上に構えていた部下の男へ当てると相手の元へ駆け寄る。途中、その間を邪魔しようとしたもう一人の男が刃物片手に来たものの、半身でいなしながら手早くカッターの刃で目を潰す。「榊さん、お怪我はありませんか!?ご無事ですか!?」冷静であるつもりが、相手を前にして安否を確認する声が思わず荒くなり、みっともないくらいに冷静さを失っていることに気付いて)
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