罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(真っ先に頭に浮かんだのは自己否定からだった。あんなに『守りたい』と思った、口にも出した彼が、目の前で危険な目にあっている。自分はなにをしているんだ。していたんだ。彼の衣服から覗く健康的な喉元に似合わない金属質特有の光を反射させる刃物があると視界に入った瞬間、ザッと顔から血の気が引くのが分かる。そして、同時に怒りと殺意を混ぜこぜにした負の感情をスーツ男と彼の首元にナイフをあてがう男へ鋭い眼差しで宛てつつ持っている武器を地面に置き、潔く左手で着ていたナイロンジャンパーと、タートルネックを脱ぐ。露わになった上半身には、フリーの日と言えどもやはり暗器が数個隠されており、それを外すように指示される。それらの暗器を取り外すと「…一肌脱いだぞ。」と武器がないことを確認させるように手を広げて。御頭でもあり、思い人でもある彼の前でこんなことをするのはみっともなく、どうか見ないでほしいとは思うが、彼は自分よりももっと苦しい、悔しい思いをしているはず。「…だが、そこの拘束されてる人が本当に榊さんか分からん。確かめさせて欲しい。」頭を冷ますために、俯いて浅い深呼吸を一つすると努めて冷静にそう言葉を投げかける。スーツ男は大分渋ったものの、相手が拘束されている事と人数で優っていることから、顎で示しつつ「はっ、リーダーの顔も分からねぇのかよ。…まぁいい、最後のお別れになるかも知れねぇからな。」と梔の後頭部に銃口を当てがうことで警戒を怠ることなく。銃口がこちらを向く中、ゆっくりと相手に近付き「…すみません、榊さん。」と左手で拘束されている手を取る…瞬間、見えづらいように死角を狙ってカッターの刃でガムテープに切り込みを入れ、さり気なく反対の手首のガムテープにも。そのカッターの刃をズボンに戻すと、その戻すモーションを怪しいと思ったスーツ男は「おい、怪しいマネするんじゃねぇ。離れろ。」と首を掴まれたことにより相手から離れる他無く。
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