罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(口元のガムテープが剥がされたことで呼吸がしやすくなるも不自然のないよう演技を続け咳き込んで肩で呼吸をし男たちの軽口にも返答する余裕のない素振りを見せる。こんな惨めな姿はボスに相応しくないし矜持はないのかと揶揄されるかもしれないが、スラム時代、ゴミ溜めの中で地を這い生きるために乞食もしてきた自分にとって大したことではない。自由になった口で息苦しそうに拘束を緩めるよう乞うと男たちは渋りつつも首元と胴体のガムテープを解いたが流石に四肢を解いてくれることはなさそうで。微かに呼吸を乱しながらこんなことなら相手の体を休めろという気遣いをもっとちゃんと聞けば良かったなと後悔しつつ次の逃走手段を黙考し、気は進まないが男達が先程から自分に向ける視線を利用してみるかと、人を騙したことはあれど媚びた色目使いは未経験。通用するとは全く思えないが腹をくくるしかないと実行に移そうとしたとき鉄の扉が開かれてスーツ男が息を乱し入ってきて。「侵入者…いや、上玉の客のお早い到着だ。」スーツ男はニヤリと笑うと部下の一人に榊の首を捉え、残り二人に戦闘態勢に入るよう指示する。そして瞬時後を追ってきた相手に銃を向けて「おっと美人さん、そこでストップだ。あそこに座ってるのが誰か分かるだろ?手ェ出されたくなかったら俺たちの要求を飲んでもらう。その前に御前に人肌脱いで貰うのもいいな。」と背後の榊にちらと目配せしすぐに相手へと厭らしい笑みを向け嘲って。一方で自分は思わぬ侵入者…いや助っ人というべきか…、彼の登場に驚きで小さく目を見開く。しかし一番この姿を見られたくない人物。逸したくなる視線を堪え、首元に充てがわれるナイフに意識を向けつつ変な気は起こすなよと相手を強く見据えて。)
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