罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
…悪い、迷惑かけたな。(アジト前に着くと、漸く少し落ち着いたのか、商売人に向けた苦無を下げ建物をザッと観察する間、視線は建物へ向けたまま右手で左腕の時計を外し、商売人の掌へ落とす。ジャラリと音を立てたそれはお気に入りであったものの、いざという時の金策であったのも確かであり、売ればそれなりの金に、上手くやれば買値よりも高くなるはずだろう。満足したのか、帰路へつこうとする商売人を横目に、待機している部下達に通信機器で連絡し、今自分のいるアジトへ武器を持ってくるように指示を、指揮を取れるであろう信用に足る人物には簡単な状況を説明し、自分は侵入の準備を進める。教えられた情報の通り地下への階段を進むと現れた本棚に違和感を覚え、片っ端から本を引っ張り出していく。すると出てきた入力装置に、携帯している白粉をふう、と吹きかけ先程入力した時に付着したであろう指の油に白粉が反応して薄らと白粉が残る。しかし、ここからは肝試しも同様。番号は分かったものの、肝心なのは順番である。残った白粉の僅かな濃淡の差から順番を割り出さねばならない。再び震えだした自らの右手に喝をいれ、恐る恐る、しかし、慎重に自分の正しいと判断した番号を打ち込んで。
一方、その扉を隔てたアジトの中では、気絶した相手を窓ひとつない部屋は二人掛かりで連れ込む。その部屋の中には床に溶接された肘掛け椅子が一脚と、分厚い鉄の出入り口の扉しかなく、あとは真っ白な床と壁、天井しかなく、その中心の肘掛け椅子に相手を座らせる。そして、縛り手の趣味か、真っ黒なガムテープで相手の口、首から胴、四肢を椅子に固定して「あーぁ、勿体ねぇな。こんなに顔が良いんだからよ、ちょっとくらい摘み食いしちゃだめなもんかねぇ?」と下卑た笑いを零す一方でもう一人の方も「駄目だろ。こいつ、リーダーのお気に入りで今回声掛けられてたんだからよ…まぁ、ちょっと見てみたいがな!」と下品な笑みを浮かべ。)
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