罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
(心臓がもたない。彼の悪戯っ子のような、少し幼さの残る笑みに釘付けになる。彼は微笑みばかりだ、などと考えていた時があったが、今は微笑みの中に様々な感情が潜んでいる事を知ってしまった。見るたびにキラキラと輝きを増して変わるそれは万華鏡のようで、一瞬しか目にすることのできない儚い美しさに息を飲むことしか出来ない。「…香り袋、ですか?」自分の掌にすっぽりと収まるそれは、とても可愛らしく、同時にどこか落ち着かせてくれるような包み。いつだったかこの包みと同じものを見たような気がするが、思い出せず少し思考を巡らす際に、ふと、包みの香りと相手の香りが酷似していることに気付きぱっ、と顔を上げる。まさか。「…ありがとうございます。不思議であって、落ち着く…そんな優しい香りがします。」ゴシゴシと極力汚れていない服の布で手を拭い、少しだけマシになった掌と、その上の香り袋を顔に寄せ、その香りを確認するとニコリと笑みを。「お言葉に甘えて…」と促されるままに風呂に入ると、手早く体を洗い、湯に浸かりながら彼の香りの分身を緩く弄ぶ。彼の心意気である暖かい湯や、いい香りは体をリラックスさせてくれるが同時に『自分を特別に扱ってくれている』とどうしても思ってしまい、心臓だけは忙しなく。それは風呂を上がり、私服に袖を通し、相手の部屋の前に立ち、その扉をノックするまでずっとドクドクと継続し、これではまるで中学生や高校生のようではないか、と香り袋を握り締めて気持ちを落ち着かせる。彼からのご褒美を受け取るまであと少し…そう思えば少しだけ目元に朱が混ざり)
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