罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
ただいま帰還しました…いえ、この仕事は割と楽なので。(部下を発見できたのは重症とはいえ良かった、と胸中で思う。これで少しでも彼の心労が晴れるなら、と彼の目元を伺うが、頬へ伸びた優しく繊細な手とかち合ったその深黒の瞳から相手も同じなのだと悟る。心配をかけさせてしまって申し訳ない、が、上記の言葉に間違いはない。こんな風に喋らない肉は処分しやすい。そもそも、最近では組織の為に、ではなく彼の為に、という心境で仕事をすることが多く、それに救われている感が否めない。自身を正当化する訳ではないが、お疲れ様、と溢れる微笑みを此方へ、風に揺れる花のようにただ一瞬だけでも向けてくれるだけで罪の意識が軽くなる気がする。「ありがとうございます……えっ?」彼の美しい指の腹が敵の血で汚れるのを横目で見て、羨ましい、等と下らないことを考えていたからか、彼の頭の冗談も咄嗟に本気にしてしまう。少しの間、そして下心とも取れる反応をしてしまったことに慌てて視線を逸らすも「あっ、いや、その……すみません、ちょっとだけ…期待しました。」と一応弁明はしてみる。しかし、しどろもどろなそれは弁明になっているのかどうか…。「…取り敢えず、お風呂はいただきます。その後、急ぎではありませんが、今回の報告を」と気まずい雰囲気を払うように苦し紛れにそう言うと目的の風呂場へ向かって歩を進めるが、すぐに立ち止まって「…それと、約束のものをいただきに。」といささか小っ恥ずかしいセリフを残して)
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