罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(仇の男を殺った、というのに達成感はまるで訪れず心は冷たいまま、どちらかと言うと虚無感に近い感情がずるずると腹中を這いずる。また、確かに射止めたはずなのだが、何とも言えない違和感、喉に骨が支えたような不快感があった。簡単過ぎたからか、男が最期に残した言葉が引っかかっているからか。混沌とした胸騒ぎが拭えずにいると、己を現実に引き戻す凛とした声に我に返り僅かに震える指先を悟られぬよう胸元に銃を戻し「…いや、君が追い込んでくれたおかげだよ。…此奴が死んだのが知れて、配下に隠れてついている他のカラーギャングが仇討ちに来るかも知れないから暫くは警戒を強めておこう。…俺は大丈夫、それより君は?」と絶命する男に目をやりながら淡々と喋るも、相手のいつも通りの気遣いには小さく微笑み、僅かに傷のついた相手の頬に指を滑らせて。軽傷とはいえあの男がつけた傷だと思うと気に入らない。男が相手を見る目を思い出しては男の脈を確かめるために死体に触れた相手の滑らかな手を取ると穢れと拭うように指先に自らの指を沿わせて。)
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