罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊
失礼します。(コンコン、と木製のドアをノックの音で響かせると、少し間をおいてから上記を述べつつ一礼をした後入室し。ぱ、と顔を上げると視界に映る相手に昨夜のことが蘇る。あの後、部屋に入ってきた彼は羽織を脱いでいたが、あれは拒絶の意なのか、あの身の程知らずな自分の行動で追い出されてしまうのではないか、もう口を聞いてくれないのではないか、と片付けが終わり、部屋へ戻った後も悶々と布団の中でそればかり考えてしまっていた。しかし、行動自体に対しての後悔はない。彼を守りたい、彼を恋愛対象として好いている。この気持ちは偽りでない、もともと玉砕覚悟だった、等と鬱々とマイナス思考気味な考えをやや強引にそう纏めると、眠れない時間を部下からの資料や過去の資料を読み漁ることに使い。その片鱗が目元に薄らとクマを作っていたものの、本人は全く気にせず朝から普段通りに振舞っており。「榊さん、休憩がてら甘味でも如何ですか」昨夜は色々あったが、仕事は仕事。相手だって凛としていつも通り振舞っているのだ、とその揺るぎない光を湛える瞳を見やると何故か少しだけ胸が痛むような気がして。ただ、それは決して顔には出さず、自分の持ち込んだ資料と共に簡単な甘味の皿を彼の机の空いたスペースに置く。何せ彼は働きづめの状態である。少しでも気分転換に、と甘過ぎないものを選んだつもりだが…とそこまで考えて我に帰り彼に向き直ると、真正面からその聡明な瞳を見つめ「敵のアジトについてのことでお話に参りました。少々お時間をいただいてもよろしいでしょうか」と切り出して。)
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