罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(その宵、アジトの大広間では小さな酒の席が開かれ、皆始めは空気を読んでか厳かに始まったが、酒が入れば人も変わる。数十分もすれば皆思い思いに騒ぎ出して。そんな賑わいの中、そっと抜け出すと夜風のあたる外へと出て一人少しかけた月を仰ぎながら酒を酌むが、お猪口の酒は一向に減っていない。時折聞こえてくる部下たちの笑い声の中に我が右腕にしつこく酒を勧める声が混じって聞こえ、そんな会話が耳に心地よく小さく笑む。まず皆の前では顔晒さない彼の事だから酒は飲めていないだろうななんて考えながら昼間触れられた頬をそっと手の甲でなぞる。彼と居ると不思議なもので、自分が守りたいと包容力を持って接してもそれ以上の後ろ盾で支えてくれて、そんな彼といるとふと弱い自分を曝しても良いと思えるときがある。まあ、つい先日彼の前で弱音は吐かせて貰ったばかりだが。ちなみに敵アジトは割れたがその場所が問題。山奥の足場の悪い所にあり、大人数で立ち討つには移動も考慮すると困難。敵側からの奇襲があったにしてもまたカラーギャングを使われ、こちらの勢力を削がれるだけに終わる気がして。どちらにしてもすぐに行動するのは難しそうだなと短く息を吐いてはお猪口を傾け水面に映る月を回していて。)
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