罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>梔
(二人だけの静かな空間、その静けさが彼の白い肌に浮かぶ幾重にも重なった傷痕を一層際立たせ、彼が幼い頃から背負ってきたものが如何に壮絶で過酷だったかを物語っていて。どんな想いで彼は此処までこの界隈に身を置いてきたのか、胸を痛めるのはお門違いだと理解しつつも気付けばそっと彼の古傷を指先でなぞっていて。しかしそれも一瞬のこと、すぐに濡れタオルで軽く汚れを拭いてやると火傷薬を手にとって「ちょっと染みるかもしれないけど我慢してね。」と声をかけて、なるべく痛みを与えないようにそっと薬を塗り込んでいき。この作業はスラムにいた頃、年下や年上の仲間によくやっていたため慣れている。手早く治療を終え、布巾で巻かれた保冷剤で患部を冷やせば再び無音の静寂が訪れ。「……梔は、この世界(マフィア)に居なかったらって考えたことはある?」とほぼ無意識に呟くように問うていて。「……いや、何でもないよ。今日はこれを着て、ここで休んでいきな。」と前述をすぐ取り消し明るく振る舞うが顔が見られない位置で良かったと苦笑を漏らし、自分の着物を相手の横に置いて。身長は相手のほうが高いが、細身だしサイズに融通が利く着物なら大丈夫だろう、そんなことを思いながら保冷剤を暫く充てがっていて。)
>>神無月くん
ああ…──、確かに良い宵時だね。でもちゃんと前を見てないと危ないよ。
(相手の視線に合わせて空を仰げば眩く星々に目を細め、すっと相手に視線を戻し目を合わせれば、現に迷っているしなと思いながら、ゆったりとした口振りで微笑み注意を。しかしこんな夜中に仕事とは何だろうと思うが深くは問わず、続く此方の素性を知らぬ様子の問いかけに小さく頷き「そうだね、ここらで見かける人はみんなそうだと思うよ。……この町が気に入った?」とどこか瞳の奥に懐古の情が感じ取れれば少しだけ声色に優しさをのせて尋ねて。相手の雰囲気がまた少し変わったことに気付くも殺意もなければ敵意もなかったため態度は変えること無く「ヤマトの端あたりってところかな。…どこに行きたいの?この辺は迷いやすいから近くまで案内するよ。」といつもの調子に戻しつつ答えを待つ前に歩きはじめて。)
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