罪 2019-01-12 17:26:13 |
通報 |
>>榊誠
(呆気なく転がっていくそれを眺めながら、ゆっくりと距離を詰める。取り敢えず、と優先順位を考えていた所で──不意に、不愉快な笑い声が響き渡る。下品なら口から零れるは、家族に対する侮辱。家族が侮辱された。殺したい。今、直ぐにでも。零れ出した殺意に圧が掛かる。しかし、今直ぐ殺す訳にはいかない。殺意を押し留め、深く息を吐く。先ずは眺めている相手の懸念を払わなければならない。袖口からナイフを取り出し、刃を向けた。「言いてェ事はそれだけか?嗚呼、可哀想になァ。泣いて許しを乞えば、ちったァ楽にしてやったのに」元々、慈悲など与えるつもりはなかったが、そう煽られては人としての扱いすら出来なくなる。腹部からの出血量を見るに、大して動けはしないだろう。喋れぬ様に、まずは喉をとナイフを振り下ろそうとした所で──銃声が響く。気付けば、左肩から広がる鈍い熱。不味いな、と思いながら、痛みを自覚する前に無理矢理ナイフを振り下ろす。的確に喉元を切り裂けば、笑い声がただの空気に成り代わる。血を吐き、ゴポゴポと口からは空気が漏れていた。本当ならばこのまま捕らえて、文句の一つでも言いながら殺してやりたい所だが、肩の痛みがそれを許さない。ならばせめてと地面に靴裏を叩き付け、爪先から刃を出す。崩れ落ちる犯人に向かい、再度腹を蹴り上げた。痛みにのたうち回り、逃げようとする犯人に更に背中へと追撃。何度か無慈悲な追撃を繰り返し、動かなくなった事を確認してからどさり、と座り込んで空を仰ぎ。)
あ"ーー……痛ぇ……。
>>レオナルド・バジーレ
(不甲斐ない、と思いながらも向けられる微笑みに思わず表情を緩め。部下に恵まれている事に感謝しながら最も信頼する右腕の言葉にほっと安堵の息を漏らし。自分ではつい武力行使、力で解決しがちだが、上手くその場を収めた事を理解すれば流石の手腕にニィ、と笑い掛け。もし、死人が出ていれば今直ぐにでも現場に戻って警察に手を出していたかもしれない。これで安心してアジトに帰れると思った矢先、食い気味に問い掛ける相手に思わず視線を逸らし。つい、一人で逃げるのは躊躇われ後ろで待機していた警察を引き付けた際に足首にかすり傷が出来ていた事を思い出し。歩けない程でもないし気に留める程でもないだろうと目を逸らしたまま誤魔化す様にわしゃ、と相手の頭を撫で。)
流石だな、レオ。……あー…、いや、大丈夫だ。お前が心配する様な事はねェよ。
>>垂
(仲間を呼べないと言う相手に面倒臭げに頭を掻ては溜息を吐き。放っておいても問題は無い。寧ろ、放っておいた方が良いだろう。しかし、一応(意図的ではないが)こちらの仕事を手伝わせた事になる。なら、風呂場の提供ぐらいはしてやるかとこの辺りにあった知人のホテルを思い出し。場所だけ伝えても良いが、ホテルの中であろうと何をしですかは分からない。アジトに戻ってからと考えていたが、ついでに自分も風呂には入りたかったし、と踵を返せば一言声を掛け目的地へと歩き出し。)
勝手に荒らしたからお仲間には言えねェってか。ったく、この近場に知り合いがやってるホテルがある。今晩の礼…っつー訳でもねェが、使いてェなら着いて来い。
>>アーロン・ナイトレイ
ふはっ、そうだといいンだがなァ。お前も悪くねェぜ、色男。
(意識してやっている事ではないが、今の自分の在り方で仲間がついて来てくれるのは事実だ。勿論、慕われて悪い気はしない。褒め言葉を受け取って悪い気もしない。上機嫌に鼻歌でも歌い出しそうな様子でワインを口に付ければ、軽口を叩きながらぱちん、とウィンクを一つ送り。相手を笑ったつもりではなかったが、不服気な様子に悪い、と素直に謝罪を一言漏らし。母親がと言えばマザコンだと笑う者もいる中で素直な返答に釣られて穏やかな表情を見せ。「数少ねェ血の繋がりだ。写真も残ってねェからなァ」と、自分の赤髪を見つめながら呟き。幼少期に亡くした家族。直ぐに父親に引き取られた所為か、母の思い出は何も残っていない。あるのは自分の赤髪と、朧気な記憶だけ。自分なりにこの赤を大切にしている以上、本来ならば警察に触らせるなど言語道断。しかし、目の前の相手ならば悪い気はしない。触れやすい様にと背を向け。「──ン、いいぜ。減るモンじゃねェしな」と許しを出せば、ちらと横目で相手の様子を伺い。)
トピック検索 |