罪 2019-01-12 17:26:13 |
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>>榊誠
(重苦しい空気は、昨夜とはまるで別物。しかし、それを不快に思う訳でもなければ気にするでもなく。一言零れ落ちた相槌に一度目を閉じ、それから目的地に到着するまでどう追い詰めるか、どう捕らえるかを思案し。──漸く到着した場所は、何とも人気のない一軒家。丁度いい。と内心呟き外の様子を観察していれば、程なくして現れた犯人の姿を脳に焼き付ける様に見詰め。傍から見ても滲み出る狂気は、救いようのないものだ。改めて犯人の顔を確認し、拳銃を握る。幾ら無防備であったとは言え、イタリアマフィアを二人殺した相手だ。油断をすれば足元を掬われる事になるだろう。冷やかしに思わず口端を釣り上げては「──ハッ。敵は助けるモンじゃねェよ」と一言吐き捨てると、部下にも手を出すなと一瞥してから車を下り。カツン、と足音を鳴らし敢えて犯人にこちらの存在を気付かせては、視線がこちらに向いたと同時に銃口を向け、躊躇う事なく腹部に向けて発砲。怯んだ隙にとその侭地を蹴り距離を詰め、傷口に向かって蹴り飛ばし。)
>>アーロン・ナイトレイ
ンなモン、気にしねぇよ。うちにはハッキリ素性も分からねぇ奴がいる。探せば元警察の一人や二人、いるかもしれねぇ。けどなァ、それが何だ?今はオレのファミリーだ。過去なんざ関係ねェよ。
(まさか問い掛けられるとは思わずきょとん、と一瞬は呆けた顔を見せるも何を当たり前の事をと一蹴しては、家族の面々を思い浮かべ。先代から仕えていた者、今の代で入った者、自分が口説き落とした者。歳も出身もバラバラで、中には素性も分からぬ者もいる。右腕として傍に置いている人物でさえも、素性は不明。本人が明かさぬ限り、詮索するつもりもなかった。過去は所詮過去。重要なのは今だ。裏切らぬ限り、家族を見捨てはしない。ぐい、とワインを煽りすっかり空にしてしまえば、もう一杯と注ぎつつ予想外の質問に思わず吹き出し。何度か赤髪について聞かれた事はあるが、まさか警察から聞かれる日が来ようとは。ワインを注ぎ終わった所で長い赤髪を軽く指先に絡め、すっかり薄れてしまった思い出の中でも鮮明に覚えている赤を思い出し双眸を細め。)
──ハハッ!何を聞くかと思えば…髪、か。おう、この髪色は生まれ付きだ。母親が綺麗な赤髪でなァ。殆ど覚えちゃいねェが、それだけは忘れねぇ。
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