今日こそ君に好きと言いたい

あんた、萌々は男に襲われそうだとか言ってたじゃない。送ってったりするんじゃないの？
( 平静を装って再び動かしていた手元がぴたりと止まる。それもその筈、愛想がないにしろ折角気を遣って萌々の居所を教えたと言うのに、返ってきた言葉は予想もつかぬ物で。疑問符を浮かべた彼に此方も同様に疑問符が脳を覆い尽くす、今朝方の自分の言葉を忘れたのだろうか。今すぐにでも思い切り振り返り発言の真意を問いたい状態ではあるが、如何にも顔を合わせたくはなく。大して埃も汚れも見当たらない床を掃き乍、寒さで僅かに縮こまった背中を終始彼へと向けつつ此方の発言内容の意図を抑揚のない平坦な声音で淡々と告げて。よもや彼が送ろうとしている人物が己等とは微塵も思っていない様。 )