A 2018-12-23 15:25:59 |
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(その日は特別と言えば特別だし、格段に特別というわけでもなかった。ただ、いつもより少し煩い夜だったから、何となく、衝動的に血を見たくなったのかもしれない。いや、そうではない。悪人はそれ相応の償いを受けるべきだ。殺人を犯して、何年、何十年刑期を全うすれば人間らしく生活が送れるだなんて不徳義だ。…という理由をこじつけて、殺人を楽しんでいる僕も異常で先ほど述べた意見とは矛盾してるが、悪いことをしている自覚はない。だって、裁かれるべき人間なんだから。
ー鉄骨が幾らか剥き出しになったコンクリート造りの建物。恐らく昔は教会として使われていたのだろう。傾いた十字架と祭壇、祈りにくる者が居ないというのに尚もそこに佇んでいる様は実に滑稽だ。ステンドグラスが施されていた窓枠から月明りが差し込んでおり、つい先程仕留めた獲物が照らされている。
仕留めた…と言うにはまだ早く、それの口許に耳を近付ければ微かな呼吸音が伝わってきた。生きるためなのか、必死にそれは空気を求めて呼吸を紡いでいる。その身体は小さく震え、救済を求める言葉を小さく漏らしている。「今、楽にしてあげる。」と、心にも思っていない言葉を呟き、獲物の目を手で覆い頭部を膝の上に乗せ、自らで握らせたナイフを首筋に当てがい、最後のとどめを刺した。夥しくほとばしる赤い液体で汚れようと気に留めず、静かになったそれの額に口付けをし、ゆっくりと顔を上げ)
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