匿名 2018-12-09 20:50:41 |
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(寒暖差でぴりぴり痺れる指先を擦り合わせ、促された通りふかふかのソファに浅く腰掛ける。スカートのプリーツが崩れないようにふわりと広げ、安心感から背を丸めた。そんなに疲れていたわけではないが、ここに来るといつだって微睡みたくなるから困ったものだ。瞼を下ろしてしまわないように背は凭れず一つ溜息。) ありがとうございます。…一段と冷え込みますね。体調、崩さないでくださいよ?(甲高い風の通る音が窓越しに聞こえ、来たばかりだというのに既に帰宅する際のことを考えてしまい小さく頭を振る。まだ暫くはここにいられるから、と湯を沸かす彼にふと視線を向けた。彼を見つめているだけの時間の、なんと便々なことか。世間一般から見たら、彼と過ごす時間は無駄の一言で片付けられるのだろう。しかし、そんな非現実的な無駄な時間が、一番心安らぐ。ぼんやりと彼を見つめる内、白い半紙に墨汁を一滴垂らしたようにじわりと考えが消えていく。気付いた時には長い睫毛が完全に下りきり、背を凭れていた。)
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