情報屋 2018-12-09 19:31:53 |
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分かってるよ。潜入の度にお前に口煩く言われるから、理解はしてる。ただ、いざってなると流石に緊張すんの。こればっかりはまだ慣れない。
( 小さく吐いた弱音を相手が聞き逃すはずも無く、程なくして額に軽い衝撃を感じる。それこそ初めて潜入現場に連れ出された時から口を酸っぱくして言われている事だった。こういう時は違和感なく“それ”であると周囲に認識されなければいけない。その為には目立たず自然に振る舞うべきで、自身に違和感や不安を持つからいけないのだと、頭で理解していても未だに慣れぬ事であった。まるで母親に注意された子供のようにふいと顔を背け、ばつの悪そうに零す。潜入時に嫌なのは、この居心地の悪さと緊張感。自身の行動の一つが悪手にならないよう物凄く気を遣うのだった。)
まあ、お言葉に甘えて優秀な探偵サマの背中に隠れさせてもらうとするよ。
( いつもの自信に満ちた笑みを見て、この男が居れば大丈夫だと思わされてしまうのが何とも悔しい。その自信に見合うだけの能力は自身にとって唯一の安心要素でもあった。弱音ばかり吐いてられないと心の中で気合を入れ直し背筋を伸ばすと、先程の生意気な態度からは一転、接客用の優しげな笑みを作り上げ穏やかに言葉を返してやり。)
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