情報屋 2018-12-09 19:31:53 |
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…その顔はダメだ。この服はあらゆる人物を『ウェイター』という像に同一化させるもの、誰もウェイターの顔は覚えてない。だからこそオドオドしたり、そんな不安げな顔を見せれば直ぐに目立って印象に残り不信感を抱かれる。いつもあの店のカウンターで見せてるようなデカい態度をしておけば問題ない。いいか、背筋を張り周囲をキョロキョロとみるな、いつも言っているだろう?
(ウェイター服に着替え終わり襟を引っ張り服装を整える。取引が行われるのはVIPが使用するエリアだ、下手な格好はできない。それだというのに、相手の方を見ればどことなく不安げな顔を浮かべていてその様子に軽く息を吐くと相手の額を指で弾く。潜入において大切なのは溶け込むこと、何十人といる従業員をいちいち覚えている人間などいないのだ、相手を除けばの話だが。ともかく、朱に交わって赤のフリをするしかない。そのためにも自然体であることが重要なのだ、そのことを人差し指を立てながらさながら授業のように説いていた。)
それにレストランフロアで給仕する必要はない。これからこのホテルで1番いいワインを倉庫に取りに行く、それを持って最上階の取引部屋へ。サーブすると言って部屋に入ってあとは奴らを捕まえるだけだ。君は僕の後ろにいれば下手な姿を見られることもないから問題ない
(まるで相手の心理を読んだように心配の必要はないとキッパリ言い切ると、任せておけと言わんばかりに口角をあげる。相手がウェイターとして完璧にとけ込めないことは承知の上、それならば自分が前に立ち目線を集めておけばいいだけだ。目的は麻薬取引の現場を押さえること、この服を着る時間もそれほど長くはないだろう)
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