小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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──嗚呼、戻っておいで。(相手は初め自分の言葉を理解できなかったようだったが、やがて自分の言葉の意味が分かったようで目を見開いた。此方を真っ直ぐに見つめて側に居たいと、愛想も尽かさずに世話役を買って出る相手に、やはり相当の物好きだと思い乍も頷いてそう答え。気を張っていて少し疲れたのか安堵と共に一度彼の座っていた隣の椅子に腰掛けると息を吐く。彼との蟠りは解消された、しかし自身のスランプは継続している。憂いを帯びた瞳を地面に落とし一人抱えていた思いを相手に吐き出しつつも、この寒空の下あまり長居をすべきではないだろう、早く帰った方が良さそうだと相手に傘を渡しつつも、怒られるのは目に見えていたが、一本要求を。)……終ぞ一文字も書けなくなっちまった、…私ももう歳だ、小説家としての寿命かと思うと、怖くて堪らない。──…煙草、持ってるかい。
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