小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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─…せ、先生。…、
(電車が出発し路面を走る音がどんどん遠くなってく。不意に聞こえてきた声は、いつも聴き慣れているものでハッと頭をあげる。そこには、紛れも無い相手の姿。思わず表情も綻び駆け寄りたくなる衝動が芽生えるが、先程破門同様の扱いを受けた身、何を考えているんだと甘ったれた思考を取り払い、「…先程は、失礼な事を言ってしまい申し訳ありませんでした。先生が紡ぐ小説、とても大好きでした。場所は違えど、これからもその気持ちは変わりません。」と言葉を早々紡ぐ。彼が喋り出す前に喋ったのも、きっと相手の最後の言葉を聞くのが怖かったのだろう。最後の最後まで世話になりっぱなしだと自嘲的な笑みを零し乍も立ち上がり、一息を吐く。頭を深々と下げて、今までの思い出を脳裏に、お礼を言おう、)お見送りに来たのでしょうか…すみません、最後の最後までお世話を掛けてしまい。…今まで、ありがとうございました。
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