小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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──…こんな所に居たのかい。(ようやく駅に着き、人気のないホームに上がると身体を縮こませるようにしてベンチに座る相手の姿。数時間ぶりに見た彼の姿に安堵が込み上げるのを押し隠し、ゆっくりと彼の側まで近寄った。反対の電車が駅を離れ、再び静寂が戻った駅に響く下駄の音、静かにそう声を掛けると差していた傘を少し傾げて相手の上に。数時間前、苛立ちを浮かべ鋭く彼を射抜いた冷たい瞳は、既に普段の穏やかさを取り戻していて静かに彼を見下ろした。)
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