小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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…(雪はいよいよ本格的に降り始め、身体の芯まで冷えるような寒さにもう少し厚着をして出てくるべきだったと思い乍白い息が宙に溶け。こうして一人で外に出るのはいつぶりだろうか、生憎の天気で殆どの人が家に戻っているのだろう、辺りに人影は殆どなく。相手の行く先に検討がつかず、その上普段から街を歩くことが少ないため店の位置関係も怪しい所、しばらく歩き回ったものの彼の姿を見つける事は出来ずに溜息をひとつ。此処を離れようと思い行くべき場所は駅だろうかとふと思い、既に彼が出て行ってから数時間が経っているため、これで見つからなければ屋敷に戻ろうと思い乍足を踏み出して。とさり、と差していた傘に積もった薄い雪が足元に落ちる。相手の傘を杖代わりに、ゆっくりとした、それでいて凛とした下駄の音が静かな街に響いていた。)
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