小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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……寒いなぁ。
(家を出た後はゆっくりとした足取りで駅まで歩みを進めていくが、実際問題頼りにできる所はない。親の反対を押し切って出てきた手前、いきなり帰った所で学もない自分が居ては迷惑だろう。もやもやした気持ちは無い、後悔もない、涙は引っ込み、朝ごはん以降食べていない為腹も減った、ご飯でも食べに行こうとさえ思えるのはきっと先生の側から離れたという事実から目を背け、考えるのを辞めただけの話。考えてしまえば、きっと戻ってしまう。しかし、戻った所で受け入れて貰える訳もない、と途方に暮れる。数年前も、ここの駅に降りてから全てが始まった。このまま遠くに旅に出るのも悪くはないか、と半ばヤケな考えも今だけは天からの正しい教えかのよう。しかし、いざ電車が来てもそれ以上足を進める事が出来ないのは心の何処かで相手の面影に縋りたい気持ちがあるから。ベンチに座り、一体何本の電車を見送っただろうか。冬空の下、段々と暗くなり冷たい風が体には酷で。ふと一言が溢れると、何だか一気に現実へと引き戻される。次の電車が来るまで1時間、次こそ必ず一歩を踏み出すんだと震える手を擦り乍、決意して。)
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