小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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─…、嗚呼、そっか。
(久しく交わった視線は、嫌に鋭く、疲労感交じりのものだった。その裏腹に交わった視線が妙に嬉しくもあり、向けられた事実に早くも感情が混乱する。先生の仰る通り、2人の間に正式な紙面による契約はない、全て口頭での口約束でここまで来た。2人を繋ぐ、確固たるものはない。改めて自覚すると、自分と先生はいとも簡単に離れる事が出来る事実が1つ増え、悲哀の気持ちが芽生えた。最初は先生の作品が好き、という率直で単純な理由だけだったのに、今は違う。それだけは前から気付いていた。ただ逃げて居ただけで、今ならすとんと落ちてくる。自分が先生に対して、恋心を抱いている事が。ふと自覚した気持ちに、思うわずぽつりと上記の言葉と同時に、一筋涙を零した。ただでさえ同性同士というのは理解し難い世の中だ、このまま居て、もし、気付かれとして、先生の足枷となるような事を増やしてしまう。最初から決まっていた、このまま一緒に居てはいけないではないか。悲しくて、2回目となる涙も、これで最後かと、言葉は止まらず。)……好きなようにしていいんですか。でしたら、僕は先生のお側から離れるつもりはありませんよ。6年前、ここの戸を叩いた時から、気持ちは変わりません。…ここを離れるときは、先生からのお言葉に従うのみです。
(返信ありがとうございます。私の方も、同じように一晩のみで被害は特に出ておりません。ご無事で安心しました。
物語の方向について、棗君の方は恋心に気付いた場面を投稿させて頂きました。先生の方の気持ちの流れはお任せ致します。
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