小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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…嗚呼、帰ったのかい。早かったね。
(思考は書き綴る文字の中に沈み、頭はやけに冴えていて筆が止まる事は無かった。ふと、襖の開く音で意識が引き戻され相手が戻ってきたのだと理解すると、視線を其方へと向けて。早々に窓を開けて回る相手に何を言う事もなく再び手元に視線を落としつつ煙草を灰皿に押し付ける。食事も摂らず随分と長い間机に向かっているというのに、身体の疲れも空腹も然程感じておらず、二日ぶりに帰ってきた相手に特段興味を向ける事もない。相手が留守にしていた二日間、余計な事を一切考えずに済むように執筆に没頭し続けたせいで、既にある種の感覚が麻痺していたのだろうか。状況はかつて酷いスランプに陥っていた時と同じ、しかし今回は執筆に関しては何ら問題がない、寧ろ調子が良いくらいなのだ。ただ、相手から今後に関する決定的な言葉を聞くのが嫌で、目を背けていたくて、胸に燻るその恐怖が小説家を執筆に溺れさせていた。筆を止めれば相手に話す隙を与えてしまう、何かに突き動かされるように話を綴る以外なかったのだ。当然そんな状態で休憩をという相手の誘いに乗るはずもなく再び相手に視線を向ける事はなくなってしまい、片付けを頼むことで相手を自分の側から遠ざけようと。)
今は良い、…戻って早々に悪いけれど、台所を片付けて置いてくれるかい。──気が散るばかりで、何の役にも立たなかった。
(/ そうですね、棗君が戻ったばかりの今は、お見合いの結果と言った今後に関わることを彼の口から聞くのが嫌で、だからこそ相手に話す隙を与えるのが怖くて、何かに取り憑かれたように筆を進める事でそれを拒んでいるというような状態。ですが二日間その調子で書き続けて居たため夜にはエネルギー切れを起こすと思うので(笑)、そのタイミングでようやく二人で食事、そこで避けようもなくお見合いの話を聞いてしまい…という流れが良いかなと思います!
先生はとにかく不器用なので、基本的に感情の鎮め方といえば周りを遮断して仕事に溺れる事。棗君が出て行くと思いどんどん感情に歯止めが効かなくなって相手にも冷たく当たり、自分自身もまた殻に閉じこもるように執筆、執筆と仕事に溺れて行き、棗君も小説家の冷たい態度と仕事の進め方に困惑。結果相手の言葉にも耳を貸さずに過労で身体を壊す寸前まで行って、ようやくお互いに感情を爆発させて…というようなイメージでいかがでしょうか?そこでようやくすれ違い続けていた2人の感情が合致して、落ち着いた話し合いができるようになり…というような流れだと自然かなあと!)
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