小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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──そうかい、此れからも側に居てくれるなら私も安心だ。きちんと看取って貰わないといけないね…とはいえ、お前さんもまだまだ働き盛りの若者なんだから、栄養はしっかり取った方が良い。ほら、此れも。
(相手と二人で気が緩んだ事もあるだろう、元々酒には然程強くないのか猪口を煽る度にその頬の赤みが少しずつ増していくようで、相手の素直な言葉にも柔らかく目を細めて。普段であれば表情も変えず不器用な彼らしく、好きにすれば良いと、其のひと言で済ませていたのであろうが、今は酔いが手伝って言葉さえも優しく率直なもの。しかし相手の遠慮の言葉は聞いていたのかいないのか、一切無視して追加で卵焼きを相手の皿へと。本人は茶碗蒸しの蓋を開け、飾り切りの施された人参を見て嬉しそうな表情を浮かべ唐突に別の話を始める。6年暮らした相手でも、この小説家が野菜の切り方ひとつで喜んでいたことなど初耳だろう。何が可笑しいのか、くすくすと楽しげな様子は既に完全に酔っ払いの其れで、普段纏っている鋭さを孕んだ空気は一切感じられなくなっていて。)
……こうやって花型や紅葉型に切られた人参が昔から好きでね、風情があって良い。入っていると其れだけで得をしたような気分になる。
(/ 今年も、というのも少しおかしいですが節目を迎えたので、これからもどうぞよろしくお願い致します!)
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