小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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…締め切りもそう近くはないし、今日くらいは良いかね。お前さんも飲むだろう、…猪口を二つ貰おうか。
(近い締め切りを思い返してみたものの、此の先数週間以内には入っていない。相手の言葉にも促されるように、そう言うと女将にも猪口を二つ持って来て貰うよう頼み。好みまで良く知られているこの店だからこそ、酒の銘柄に関しても特に注文はない様子、座布団に腰を下ろすと久し振りの雰囲気に少し気分もほぐれるようで。相手の声に再び外の景色に視線を向ける、枝垂桜はまだ四分咲き程度だろうか、それもまた趣があって好ましい。今日一日ばかりは、取材や締め切り、執筆中の小説の内容を束の間忘れて相手と二人で過ごす休日を満喫するのも悪くないと、その控えめに咲く桜を眺めつつ。相手と向かい合うように座り、やがて酒と食事が運ばれてきて。)
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