小説家 2018-11-29 01:25:00 |
通報 |
構いやしないよ、先ずは此の六年間の働きに対する労りだ。…何か買ってやった事もあまり無かったから。
(相手が支払いを終えたのを見て店主と挨拶を交わすとようやく車へと歩き出す。後ろから追いかけて来て些か申し訳なさそうに尋ねくる相手にそう答えながら車に乗り込み。6年間側に置く中で、相手に何か贈った事はなかったような気がする。当然日常の世話を請け負ってくれていることに感謝こそしているが、それを形にした事もなければ感謝の気持ちを面と向かって伝えた事もない。仕立てた一着の着物は、この6年間の感謝と此れからも側に置くことへの約束になり得るだろうか。当然恥ずかしくて面と向かってその思いを伝えることはせず、ぶっきらぼうにそう言葉を述べただけだったが。長年の付き合い、無愛想な言葉の中に隠されたその思いを知ってか知らずしてか、クスリと密かに笑みを零した運転手は、彼の贔屓にする料亭に向けて車を走らせて。)
(/お世話になっております。料亭で二人食事をしつつ珍しく酒が進み、普段より陽気になって絶対言わないような事もさらりと言ってしまうような酔っ払い先生の話に進めようかと思っているのですが、いかがでしょう?一旦趣を変えてお出掛け系とは別の話にしてみますか?)
トピック検索 |