小説家 2018-11-29 01:25:00 |
通報 |
嗚呼、此れで書き物にも精が出る。
(車は静かに動き出し次なる目的地へと。相手の言う通り今回購入した筆は機能性も見た目の美しさも申し分ないもの、正に良い買い物が出来たと言うに相応しいだろう。相手が購入した万年筆も、自分が初めに勧めた物を相手が気に入り珍しく購入に至った事がやや誇らしくもあり何処か嬉しくもあったが、その子供っぽい感情は今は黙っておこう。互いに日常生活でよく使う筆記用具を新調した事で機嫌は良く、次なる目的地である家具屋の前に車が止まるまでは普段よりも幾らか饒舌だったかもしれない。やがて再び停車すると此方もまた長く贔屓にしている家具屋の前で、車の音で気付いたのであろう店主が戸を開けて出迎えてくれ、軽く会釈をすると相手と共に店内へと。家具屋特有の微かな木の香りが心地良く周囲を見渡したものの、筆と違って椅子に関しては特段の拘りがあるという訳でもなく、この大量の商品の中から幾つかを絞り込むのは相手に任せたとばかりに軽く首を傾げただけで。)──どれが良いやら、…五つくらいに絞ってくれるかい。お前さんの方がそういうセンスや見る目はあるだろうから。
トピック検索 |