小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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──確かに、直ぐに洗濯物に繋げるだけの想像力は無かったよ…お前さん、漸く世話役も板についてきたようだね、
(「梅雨のある日」、相手の挙げたその言葉から直ぐに浮かんだのは濡れた紫陽花の鮮やかな色と静かな雨音、感情は寂しさや切なさだろうか。思考を覗かれているかのように続いた相手の言葉に、自分の描く世界を誰よりも知り尽くしている相手には、どうやら思考回路まで読まれているようだと思いつつ。確かに洗濯物という所までイメージは直ぐに広がらなかった、家事に疎い自分にすれば当然の事かもしれないが、相手の思考も面白い。相手に小説を書かせたとしても、全く自分とは雰囲気の違う作品を書き上げるだろう。但し同業者を好まないため相手に筆を執らせるような事はそうそう起き得ないだろうが。何より右も左も分からずやってきた相手も世話役が板についてきたようだと感心しつつ。少しして車が止まり、着いたのは馴染みの文具店。店へと入れば店主に挨拶をしつつ店内を見回して。此の所主流となっている万年筆やらインクが並ぶ中、上質な筆や墨、半紙と幅広く取り揃えていくれているのは有難い。綺麗に並べられた筆の中から執筆に適した太さの物を見定めて幾つか手に取り。)
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