小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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(台所に立ち、鍋に水と米を入れて火にかける。台所に立つのには似つかわしくない身綺麗さ、普段筆ばかりを持つ手に箸やらを持ち、原稿に落としている真剣な視線を鍋の中に注いでいる小説家など、誰がいくら願っても到底見られないだろう。一人で暮らしていた頃も外に食べに行くことが多く自炊などほとんどしてこなかったため、家事の中でも唯一料理だけは苦手としていて。煮立って来たものの挑戦した粥はどうやら水の量が多かったようで、想定よりも緩く流動食にも近い。見た目はお世辞にも美味しそうとは言えないが今は其れを食べて貰うしかなく、茶碗によそり梅干しを1つ乗せるとお盆の上へ。自分が飲もうと思って淹れたお茶を湯飲みに注いで盆に乗せると、相手の部屋へと向かい。目を覚ましていた相手と視線が合うと、珍しく少し気まずそうに視線を泳がせつつそうひと言。盆を相手に差し出して。)…料理は昔から、からきし駄目なんだ。
愛想なんて尽かさないよ、背後はお前さんとのやりとりを随分楽しみにしているようだから。
気候も穏やかで、のんびりとした良い正月だった。
そうだね、くれぐれも無理はせず楽しんでいければ良い。
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