小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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─…、あ、すみません。寝てしまっていました、…いえ、元はと言えば僕の失言の所為なので、先生は気負う必要はありませんよ。
(髪の神経に這う指先の感覚にぼんやりと目を開けると相手の姿を捉えた。そういえば先程部屋を出て行ったのを見送ったばかりで、ハッと一気に目を覚まし急いで時計を見る。時間にして30分程は経過しており、早まった鼓動を抑えた。相手の発言に、昨日を思い出すと頬をぽりと掻き、ブランクに陥っていた先生を責め立てるような言葉を吐いてしまった自業自得だと自嘲的な笑顔を。ふと手を取り握ると先程より冷え切った指先。ふと、「…先生、お外に出られたんですか?」と尋ねてみる。しかし、相手が一人で外出することなどあるだろうか、視界の端に捉えた薬ではっと気が付いた。お世話係の為、どこに何があるかなど分かりきったこと。ちょうど風邪薬は切らしていた、さてはと相手を見つめると「…先生の執筆時間を削ってしまい、申し訳ありません」と謝罪の言葉を、)
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