小説家 2018-11-29 01:25:00 |
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…少し目を閉じて待って居るんだよ、直ぐに薬を持ってくる。(直ぐに熱くなってしまう手拭いを再び冷水に浸し、絞ってから相手の額に乗せるとその頬を優しく撫で、待っているように言うと立ち上がり。生憎家には薬が無かったため、近所の薬屋に貰いに行くのが一番手っ取り早いだろう。相手の性格を思えば、自分が一人で外へ出たとなれば恐らく罪悪感を感じてしまう筈で、羽織に袖を通すと玄関の戸に手を掛け、静かに閉めて。外は小雨が降っていて、傘を広げると近くの薬屋へと歩いて行く。一人で歩いて門を潜ることなどいつぶりだろうか、いつも相手が側に居たし自分の用事以外で外に出る事など滅多に無いため酷く久し振りな気がして。傘で視界を遮れるため雨が降っていて都合が良かったなどと思い乍薬屋へと着くと傘を畳み、小説家の先生が、と珍しいその姿に驚かれつつ軽く会釈をすると要件を伝えて。)──突然すみませんね、ちょいと風邪薬と熱冷ましを頂きに来たんですが。
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