艶 2018-10-27 21:19:25 |
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(今日と言う一日をオハヨウと迎え、オヤスミと終える。それっぽっちの事柄が当たり前ではない、ある日行き成りお前は要らないと言われてしまえば何処ぞで野垂れ死にを迎えるだけの軽い命なのだ。思い描く在りし日の何時かなんて物はオヤスミと瞼を落とした時点で記憶から吐き出る白い夢に変化する。明日をも知らぬ命なのだ、今日誰かに連れられた所で生きるこの世は地獄の地、今までの場所と何ら違わない。故に、恐れる必要が何処に有る。人は何れくたばる訳で、死ぬときは一人、ならば今此処で生まれの片割れを失った所で寂しい何ぞの感情はとうの昔に失せている。彼の歩幅の半分も無い自らの歩幅でその隣を、時にウロチョロと纏わりついて鬱陶しい犬畜生の如く右に左にと引っ付きながら、べたりべたりと遠慮なく質の良い彼の纏う衣類に小汚い手で触れて回る。伸びてはその質感を楽しむように撫で回し、愛でたつもりの指先は丸っこい深爪の先で掻っちゃいて「ウキョウ。俺のこと肩に乗っけてくれよう。それだけでかいなら何だって見れんだろう!月だって掴めら。なあ!お願いお願い!頼むよう!」そんな戯れをしたかと思えば纏わりついていた体は動きを止めて、地団駄を踏み足音をずかずかと忙しなく立てる。なあなあと喚き散らすさまは煩く下品な餓鬼其の物。その癖性質が悪いのは今し方引っ掻いた彼の衣類を手繰り寄せ、その腕に自らの短い腕を絡ませればあざとくみゃおみゃおと喉を鳴らす発情期の猫の様に眼を細め「ウキョウ、ウキョウ」と上擦る声で繰り返し名を呼ぶ甘えたおねだりを。子供特融のぷっくりと膨らむ唇をちょんと尖らせれば、先ほど自らの頭を撫でた大きな手の平を頬元まで運び、スリスリと顔を摺り寄せる始末。暖かい血が通っている事の伝わる体温と、泥臭く血生臭い体臭の自分とは違うその匂いを小振りな鼻先を擦り付けスンスンと嗅いでから、形のいい親指を狙って唇を寄せ、れろ、と舌先を伸ばし味見の様に舐めり。つい数刻前に愉しんだ鶏とは当たり前に違う感触は、やや荒れ始めた皮膚の光沢は彼が酸いも甘いも経験した良い大人である事を教えてくれ、自らのサンドペーパーのようなザラリザラリとする舌が姉の食べていた蛇の様に彼の指をチロチロと這いずり回る。散々弄ったかと思えば、今度は指を奥歯まで咥え込んでガジガジと歯を立て「__してくんらいと齧り落とすろ」咥えたまま持ち掛けるのは冗談か本気か、根元まで咥え込む親指をかち、と上下の歯で抑え込みながら廂の如く濃い睫毛の隙間を縫う様に黒い瞳の焦点がぴったりと彼の顔に静止。その姿は彼方の月の様にしんと静まり返る美しく、醜悪の限りを尽くした地獄に生きる身分には寝ても覚めても到底触れる事が出来ない存在だと知るには幼過ぎた。無知の強み、身分を気にしないからこそ遠慮をせずに返事を待ち)
(/此方こそ助長な文になってしまいがちですので、読み辛い等有れば出来る限り短く纏める努力をしますので仰って頂ければ…!それでは背後は一度消えます故、何か有ればお呼び下さい…!/返事不要です…!)
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