隊長 2018-10-24 21:35:56 |
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──シー、…あんまり無理すんなよ。おやすみ
(ヘッドバッドは相手の頭にクリーンヒットしたようだ。こちらの頭も痛みを覚えるが、こちらの接触部は硬い額、痛みが引くのにそれほど時間はかからないだろう。焦点の合わない目で最後のあがきとばかりにこちらの胸ぐらをつかむ相手をまるで赤子をあやす口調でいなし、薄く笑みを浮かべた。ほどなくして相手は意識を失う。自分の思惑通りに事が運び鼻歌でも歌いたい気分だ。施錠されたままで時間はかかったものの相手の太ももあたりにあるポケットのファスナーをあけ手錠の鍵を取り出せば、器用に手を動かしてやがて手錠は外れる。ようやく解放だ、未だストーカーの感触が残る口をジャケットで拭うと気分は幾分かはマシになる。さてこの男はどうするべきか。ここにもう1つ死体が加わったところで数に大差はない。落ちていた相手の拳銃を拾い上げ一度相手に向ける。だが引き金を引く気には、不思議なことに全くならなかった。それどころかここから離れることを少々寂しいと思う自分もいる、その事実に驚きながら拳銃を自分のベルトに差し込むと相手の側にかがみ込んだ)
…キスするなら、お前の方がよかったよ
(どうしてそんな言葉が口をついて出たのか分からない。だがこの言葉は自分の本心である気もした。相手の体を引っ張り起こすと正面からその体を抱きしめる形になる。そのまま後ろ手に今度はこちらが手錠をかけた。これでしばらくは追ってこれないだろう。離れる間際、相手の頬に軽くキスを落とす。これはきっと親愛のキスだ、友人同士が挨拶で交わすような、そんなキス。相手の体をゆっくりまた床に横たえると死んだ部下をが持っていたという通信機を手にし『緊急、怪我人と死亡者発見』とそれだけ言って相手のそばに通信機を放り投げた。これでしばらくすればお仲間がやってくるだろう。最後に数秒相手の顔を見つめてから踵を返すと足早に外の世界へと飛び出して行ったのだった)
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