隊長 2018-10-24 21:35:56 |
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あぁ……、その心配は全くしていなかった。俺は簡単には殺されてなどやらないし、殺される気も更々ない。俺はお前を満たしたいと言ったんだ。不安が…過去の残像がまたお前を苦しめても、俺はお前から離れない。お前が、その衝動を忘れるほどに満たしてやりたいんだ。それに___、
(後から自分で聞いたらそれこそ昇天してしまいそうな言葉だった。こんなこと誰にも思ったことも言ったこともない。本当に自分の口から発せられているのか自分で疑う程。それでも本心だった。殺されてしまう可能性も相手に言われて初めて気付いたくらいだ。首裏に感じる相手の体温、少し震えているような声、それが伝わりようやく余裕が生まれはじめまっすぐに相手の表情をとらえる。これからどうなりたいか、どうしたいか、そんな具体的なものは経験したことがないのだから分からない。今伝えたことが全てだった。そして何か言いかけるのと同時に、互いを隔てるミニテーブルを片手で払い倒して襟首を掴んだままぐっと引き寄せ身体を密着させる。ミニテーブルが倒れグラスが割れてワインが床にしみをつくるが一切目もくれず、相手の瞳を捉えて離さない。そのまま相手の耳元に顔を寄せて、
俺もいつでもお前を殺せることを忘れるな。
(低く冷たい声、だが確実に甘さの含まれた声色で囁くように告げながら相手の空いている手を自分の腰のホルダーにある拳銃へと導き軽く触れさせる。そして少しだけ身を離して双眸を捉えながら、襟首を掴んでいた手を相手の口元に持っていき、名前を催促するように親指で唇にそっと触れて。)
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